痛風は、関節やその周辺の組織に尿酸の過剰な蓄積によって発生する炎症性関節炎です。主に親指の関節に現れることが多いですが、膝、手首、足首などの他の関節でも発生することがあります。

尿酸とは？

私たちの体内では、タンパク質の一部であるプリンが生成され、また分解されます。このプリンが分解されるときに生成される物質が尿酸であり、尿酸のほとんどは私たちの腎臓を通じて尿として排出されます。

痛風の原因

プリン摂取の増加

プリンを多く含む食品には、肉類、内臓、魚介類などがあります。これらの食品を過度に摂取すると、体内のプリンの分解が増え、尿酸の生成が増加します。

細胞の急速な分解

高熱、急性の疾患、化学療法、放射線治療などによって体内の細胞が急速に分解されると、尿酸の生成が増加する可能性があります。

遺伝的要因

家族に痛風の患者がいる場合、尿酸の生成や排出に関わる遺伝子の影響を受ける可能性があります。

腎臓機能の低下

腎臓の機能が低下すると、尿酸の排出能力も低下する可能性があります。その結果、血中の尿酸濃度が増加します。

特定の薬の摂取

利尿薬、高血圧治療薬、低容量アスピリン、抗利尿ホルモン製剤などの一部の薬は、腎臓の尿酸排出能力に影響を与える可能性があります。

低体温

体温が低い部位では、尿酸が結晶化しやすい環境が作られます。これらの尿酸結晶が蓄積されると、痛風を引き起こす可能性があります。

アルコールの過度な摂取

アルコールは、尿酸の体内排出を阻害し、血中の尿酸濃度を増加させる可能性があります。

痛風の症状

急な痛み

尿酸の結晶が関節に蓄積することで、その周りの組織が炎症を起こします。この炎症反応により、関節から急に痛みが発生します。この痛みは主に夜または早朝に急激に現れ、数時間以内に症状が悪化することがあります。

赤い肌と発熱

炎症反応により、関節の周辺の皮膚が赤くなり、その部分がヒリヒリするか、または熱を感じることができます。

関節の腫れ

炎症反応により、関節の周りの組織に液体が溜まり、関節が腫れることがあります。

関節の可動域の制限

痛みや腫れのため、関節の動きが制限され、自由に動かすことが難しい場合があります。

継続的な不快感

急性の痛風の発作が治まった後でも、尿酸の結晶が関節の周りに残っていることがあり、それにより持続的な不快感や軽い痛みが続くことがあります。

痛風の予防法

プリンの摂取を減らす

プリンは主に内臓、肉類、貝、魚などの海産物に含まれています。これらの食品を摂取すると、体内でプリンが分解され、尿酸が生成されますので、これらの食品の摂取を控えることで痛風のリスクを低減できます。

アルコールの制限

多くの人がビールを飲むと体内の尿酸が増加すると思っていますが、ビールだけでなく、焼酎、麦酒、ワインにもプリンが多く含まれています。したがって、飲酒の量や頻度を減らすことが推奨されます。

体重を管理する

肥満や過体重は、尿酸の生成を増加させ、腎臓の尿酸排出能力を低下させる可能性があります。健康的な体重を維持することで、痛風のリスクを減少させることができます。

水分を摂取する

十分な水分を摂取することで、体内の尿酸濃度を薄める助けとなり、腎臓を通じて尿酸が排出される可能性があります。毎日8~10杯の水を摂取することで痛風を予防できます。

薬物の摂取を管理する

特定の利尿剤やアスピリンなどの薬は、腎臓での尿酸の排出を妨げることがあります。これらの薬を摂取している場合は、医師や薬剤師と相談してください。

定期的な健康診断

血液検査を通じて定期的に尿酸濃度を確認することで、早期に高い尿酸値を検出し、痛風を早急に管理することができます。

痛風によって引き起こされる合併症

痛風トーフィ

痛風トーフィとは、体内に蓄積した尿酸結晶が集まって形成される硬い塊のことを指します。主に耳、指、足の指、関節、そして皮膚の下に形成されます。このように形成された塊は次第に大きくなり、痛みや感染を引き起こすことがあり、近くの組織や関節にダメージを与えることもあります。

関節の損傷

尿酸結晶が長期間関節に蓄積すると、関節の軟骨が損傷し、慢性的な痛みや動きの制限が生じることがあります。これは、長い期間関節に炎症が持続することで軟骨が破壊され、関節内の構造が変わることが原因となります。

腎結石

尿酸が腎臓に蓄積すると、結石が形成される可能性があります。尿酸結石は痛みを引き起こし、重度の場合、腎臓の機能に損傷を与えることがあります。

腎機能の低下

高い尿酸濃度が長期間続くと、腎臓に負担をかけることがあります。これにより、腎臓のフィルタリング機能が弱まる可能性があります。

痛風性関節炎

痛風の発作が繰り返されると、最終的には慢性的な関節炎に進行することがあります。関節の痛み、腫れ、そして動きの制限が持続することがあります。